緑のしずくがひらく、静かな想い 継がれし雅、 ひとしずくに。 澄みわたる緑のひとしずくが、静寂の中にそっと舞い降りる。それは、ただの茶ではない。四百年の時をつなぐ手しごと、祈り、想い、そして季節の記憶。摘まれた一葉が、湯にほどけ、香りにかわり、やがて体にしみわたり、心の奥をほどいていく。ふと、ため息がこぼれる。やさしいあたたかさが、内側から静かに世界をやわらげてゆく。ひとしずくが、あなたに満ちる静謐のとき。 一杯の奥に、宿るもの 語らいが、そっと始まる時間がある。手のひらに湯のみをのせると、季節の気配と、静かな気持ちがふわりと立ちのぼる。古くから日本には、そんなひとときを丁寧に受けとめる**“間”**がありました。言葉よりも、仕草よりも雄弁に、ぬくもりと香りが想いを伝える。それは、誰かを迎えるときの礼として、自らをととのえる所作として、日々に寄り添ってきた、日本人の静かな美意識。湯気の向こうにあるもの──それは、語られずに継がれてきた、こころの風景なのです。 たゆたう香り、贈るぬくもり やわらかなぬくもりが、心から心へ、静かに手渡されるときがあります。ふと漂う香に、なつかしい誰かの笑顔がよみがえることもある。そのゆらめく香りは、言葉の届かぬ場所へ、感謝の気持ちをそっとたゆたわせてゆく。贈るということのなかには、ただ“物”を届けるだけではない、静かな願いや、あたたかなまなざしが込められています。何を贈るかではなく、どんな気持ちで手渡したかが、香りとなり、記憶となって残る──そうして結ばれる小さな絆が、今も、誰かのこころをあたため続けているのです。 香りが、ひととき心をほどく。 ほどかれた包みの奥から、静かな時間が、ふわりとひらく。そっとゆらめく香に、心がやわらかくゆるみ、光をまとうようなぬくもりが、あたたかさを運び来る。そのぬくもりにふれたとき、胸の奥に、若葉のような想いが静かに揺れる。言葉ではなく、感謝という気配になって、やさしく染みわたる、その瞬間。日々のなにげない景色に、一杯の緑がやさしさを添えて、心にそっと残っていく──それは、ひとひらの光となって包まれる、やさしい記憶の、ひとしずく。 あわただしい日々のなかで、ふと、心をととのえたくなることがあります。ぬくもりに包まれたい朝。静けさに立ち止まる夕暮れ。誰かを想ったとき──お茶は、そんな時にそっと寄り添うもの 自分のために。誰かのために。語らずに伝える、やさしさのひとしずく。芳翠園の茶は、その静けさを大切に、ていねいに仕上げています。今日のあなたに。明日のあの人に。この緑のしずくが、そっと、やさしく響く水音に。 銘茶の継承 ─ The Legacy of Fragrant Green 翠のしらべ 煎茶(上撰) 時雨の滴(しぐれのしずく) 玉露(特上) 千の露(ちのつゆ) 抹茶(上級) 薫る宵(かおるよい) ほうじ茶